天皇と奴隷のあいだ |
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| | 「言語学入門」です。 今日のテーマは、言語の習得について、です。
赤ちゃんがどのように言葉を学んでいくか、の説明のときです。
赤ちゃんは、お母さんのお腹の中にいるときから、受動的にではあるけれども、既に言葉を学んでいるそうです。 そして生まれた後は、周りの人が話すのを聞き、それを真似しながら、学んでいくのが普通ですよね。
そこで、先生はおっしゃいました。 「例えば、周りに言葉を話す人がいなかったら、どのように言語を学んでいくと思いますか?これを実験した人がドイツにいましたね。誰か知っている人は?」 すると、ドイツ人学生が手を挙げ、説明してくれました。
昔、ある王様がいました。 彼には、複数の子どもがありました。 そこで、「言葉がない状態で、人間はどのような言葉を、どのように学んでいくのか」を自分の子どもを使って実験することにしたのです。 彼は彼等を各自部屋の中に隔離し、食事だけ与えました。 他の者が彼等と話すことは禁止し、まったく周りに《言葉》のない状態を作りました。
「どうなったと思いますか?」 と先生がおっしゃると、一人の学生が 「自分で言葉を作り出すのではないですか」
ところが、実際は子どもは全員死んでしまったそうです。
なんだか、一気に背中が冷えてしまいました。 言葉に出来ないです。 彼には、子どもたちを苦しませる、とかそういう気持ちはなかったのかもしれません。 暴力を振るっているわけでもないですし。 純粋に(という言葉は変ですが)研究がしたかっただけかもしれません。
しかし、子どもたちにとっては・・・。
授業はこれで終わりですが、夕方はロッテ(仮名)とのタンデムです。 先にドイツ語の勉強を見てもらった後、日本語の勉強は、他のタンデムをやっているペアと一緒に行うことにしました。 ドイツ人のミヒャエル(仮名)と日本人のケンジ(仮名)です。 ミヒャエルも10月からの新入生なので、ロッテと同じ日本語の授業に出ています。
今日は、授業で、日本の歌を聞いたらしいです。 どんな歌?と訊いたら、 「幸せなら手をたたこう」 V6の「OVER」(どんな曲だか知りません) とのことです。
ロッテは気を遣ってか、どちらも楽しい歌だったと云っていましたが、 ミヒャエルは 「《幸せなら〜》は子ども向けの歌だし、《OVER》も好きじゃない」 と云っていました。
私もそれが正直な感想だと思います。 ジャニーズですか、先生・・・。
宿題だというプリントを4人でやって、一応終了です。 ミヒャエルが何か訊きたいことはないかと云うので、今日の「言語学入門」にでてきた王様の名前について訊いてみました。 ロッテもミヒャエルも、その話は知っていましたが、名前は知らないとのことでした。
「王様じゃなかったような気がする・・・」 とロッテが云うので 「いつ頃の人なの?」 と更に訊いてみると 「18世紀くらいだと思うけど、よくわからない」
するとミヒャエルが 「なんか答えられなくて悔しいな〜。よし、こっちも歴史に関して質問しよう。 う〜ん、色の違う帽子のこと知ってる?」 「それは《冠位十二階》のこと?役職によって帽子の色が違うんでしょう?」 「じゃあ、《カバネ》は?」
カバネ? カバネといえば、《氏と姓》の《姓》でしょうか? 「それって、名字みたいなものだよね?」 と云うと、 彼は嬉々として、 「違うよ〜。天皇が一番偉いでしょ。その次は知らなくて、その次も知らなくて、え〜、6番目が奴隷。この身分制度のことだよ」 と説明しました。
「知ってる?」 とケンジに訊いてみると、彼も 「知らない」 それを聞いて 「やったー」 と喜ぶミヒャエル。
ほんとうに《姓》ってそんなんでしたっけ・・・? 日本史は常に赤点ぎりぎりの低空飛行をしていた私。 全然記憶にありません。
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2004/11/24(Mit)
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